自分が分からない、どう生きたら良いのか分からない問題について

老いると、脳機能の低下により色々な事を忘れてしまいますよね。

・喉元まで出ているのに思い出せない
・忘れていたけれど、ふとした時に思い出した
・思い出せず終いだった
・忘れた事自体を分かっていなくて、最初から知らなかったと思っている
など

記憶に関するお悩みはよく聞く話です。

私自身にとっては、介護施設勤務、社会福祉協議会勤務の頃は勿論、私生活でも物心ついた時から祖父母が、その次は父が、と毎日付き合い続けている事なので、すっかり日常の一部です。

この様な時によくあるご家族からのご相談の一つに

「親の書類を書くのに必要な関係書類(保険証や手帳、通帳、印鑑など)がどこにあるか分からない。本人に聞いても、本人が認知症で覚えていない。」

という事があります。

家中をひっくり返すように探したのに、とうとう見つけられなかったというご家族様もいらっしゃいました。

大変ですよね…心中お察しします。

この様に、親が老いると質問しても答えてもらえない、親が覚えていないという事が出てきます。

なので、皆さんに親が元気なうちに聞いておいてほしい事があります。

それは、先に上げた様な物も勿論ですが、

◯祖父母そして親がどの様な時代背景で生まれ育ち、どの様な人生経験をして来たのか。どの様な価値観を重視しているのか。そして、その理由。

◯自分の名前は誰が付けたのか。どんな意味があるのか。

この2つです。

何故この2つなのかと言いますと、自分のアイデンティティに関わる事だからです。

自分が何者なのかを知るという事は自分を作る要素の一つであり、自分を確立する上でとても大切な事です。

人には、子供から大人に成長していく中で、幼少期から作ってきた自己を見つめ直す、再定義する時期があります。
思春期です。

この頃には、客観的に自分を見れる様になっているので、そこで自分らしさや自分の長所短所に気付く事が出来て「自分はこんな人間なんだ」と自分を確立させ、人生の指針を得る事が出来るのですが…

自分がどこからやってきた人なのか、どの様な背景を持つ人なのかという、その人の基礎である部分が分からないままですとアイデンティティの確立は難しくなります。

基礎が出来てないなら応用が出来ないのと同じです。

アイデンティティの確立に失敗すると(アイデンティティの危機と言います)、人は自信を持てずに、自分の意思を持つ事や、それを元に判断する・選択する事が難しくなってしまうのです。

そうなると、自分に自信が持てないので、自分の人生の舵を誰かに簡単に任せてしまったり、自分の責任を人に求めるといったトラブルが起こってきます。

なので、是非、親が元気なうちに

◯祖父母と親の生まれ育った時代・環境の事や重視している価値観
◯自分の名前の意味やそこに込められた願い

この二つを確認しておいて頂けたらなと思います。


それでは!

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)